護身用品のニーズと国柄

身に付ける護身用品として代表的な物にスタンガン、催涙スプレー、特殊警棒があります。
それぞれ数えきれないほどの機種が出回っており、真剣に身を守る事を考えているユーザーにとってどの護身用品を選択して良いのか判断が難しいものだと思います。


護身用品を購入するにあたって、目安となる判断材料はいくつか考える事が出来ます。


例えば価格。同じ商品で同じ付加価値(例えば保証や付属品、納期など)であれば、やはり安いほうが良いですね。しかし製品の品質と価格は切っても切れない関係があります。安さだけを重視して護身用品を選ぶ事は製品の品質や性能、耐久性を度外視する事になります。

その他には公官庁が大量に導入したといったような導入実績があります。
ところがこの導入実績にも問題があります。例えば日本やアメリカなど公官庁が製品を導入する際には必ず入札が行われます。簡単に言うと必要最低限の性能さえ満たせば最も安い物を導入するという事です。入札時には最低限満たさなければならない最低性能が要求され、その条件を満たした最も安価な製品が採用されます。そこに「より性能の良い物を」という概念はありません。こういった理由で選択された製品を最高に良い物と考える事は出来ません。例えば国内ではJRが乗務員に採用したものがそうであり、アメリカでは警察が採用したなどとうたっているものがそれにあたります。但しアメリカでも軍で採用されるものは例外です。軍の製品に対する要求は民間と比較にならないほど厳しく、より良いものを求める考え方です。


そして、その他の判断基準として「どの国の製品か」というものがあります。
日本国内でもいろいろな製品を選ぶ際、国産か?海外製か?生産国は?いろいろ気になると思います。もちろん国産であればいいのですが、海外製の場合は「中国製たけど安いし、まあいいか」といった心理が働いたりします。
そこで護身用品について考えた場合、市場ではアメリカ製を過大評価する傾向にあります。国内のバイヤーは基本的にアメリカから輸入すればアメリカ製とうたいます。しかしほとんどの場合、その生産国はアメリカではなく発展途上の第三国、いわゆるOEM生産品です。アメリカでは特に護身では(加害者が使用する場合も)銃が浸透しているため、特にスタンガンには多くの性能を期待されていないからです。本当に護身用品が欲しい場合は銃という選択肢もあるなか、まして銃で襲われるリスクが高い社会において、スタンガンにはそこまでの性能が求められておらず、おのずと流通するスタンガンも安かろう悪かろうで済むわけです。アメリカにおけるもう一つの問題は、その「訴訟社会」にあります。スタンガンを使用して少しでも腫れたり痕跡が残れば、それは即、訴訟のリスクとなります。そのためアメリカではハイパワーのスタンガンはニーズかなく、販売元もそういったスタンガンを取り扱うリスクを避けます。つまりスタンガンは「低出力でそれなりのもの」が良いわけです。逆に購入するユーザーもスタンガンで本気で身を守るという意思がなく、低出力で遊べるものを求めている状態なのです。
こういったアメリカの国柄、事情をよく理解せず、十分な説明もなく、


アメリカ製=良いスタンガン


とうたっているスタンガンが日本国内に驚くほど流通しています。
本当に良いものを選ぶには、一般ユーザーにもしっかりした「選択眼」が必要な時代です。


あなたはどんな目的で、どんな性能の護身用品を選びますか?